前回の「次世代弁護士の専門性」という記事を受けて、今回はGVAが輩出しようとしている弁護士像について書きます。
前回の記事では次世代の弁護士の専門性とは、
■特定の業界に強い弁護士
■特定の国に強い弁護士
という切り口が出てくるのではないかということを書きました。
GVA法律事務所は「ベンチャー」と「グローバル」という2つの専門性を育てていこうとしているため、「特定の業界に強い弁護士」と「特定の国に強い弁護士」の2つの方向性の弁護士は何名も輩出されていくのではないかと考えています。
そのための制度として、週2回「ビジネス理解力を向上させるための勉強会」で、最新のベンチャービジネスや財務・税務の基礎等の勉強をしています。
紛争を中心でやってきてベンチャービジネスや特定の業界知識に触れられてこなかった弁護士にも課題図書や事前の情報を共有して、一からビジネスの理解力を向上させるための仕組みをとっています。
また既に特定の業界や国に強い弁護士がGVAには存在し、その弁護士から業界や国の知見の講義をしてもらい、組織全体として基本的な知識の共有を行ってもらう場合もあります。
しかし、ビジネス理解力はあくまでも「ビジネスを理解する力」であって、自らが「ビジネスを行う力」ではありません。ビジネス理解力を高めることによって、クライアントをより理解して、「全体最適の法務サービス」に繋げるために存在します。
企業内に入った場合はまさにビジネスを行うので「ビジネスを理解する力」も「ビジネスを行う力」も獲得できるでしょう。しかし、「ビジネスを理解」した上でそれを「法務サービス」に落とし込む力はやはり法律事務所内でプロフェッショナルと議論をした中で生まれてくるものであると思います。
GVA内でも、最新判例、法律改正の動向を追ったり実務上の影響を議論したり、法律雑誌の論文について議論したりするのはプロフェッショナルファームだからこそ日常的にできるのではないかと考えてます。
全体最適の法務サービス=「ビジネス理解力」×「法務サービス」
であり、「法務サービス」をしっかりと確立させるためにはプロフェッショナルとしての自覚と環境が必要であると考えてます。
GVAは若手の弁護士集団であることから「法務サービス」もこれから向上していかないといけない部分が多いため、場合によっては外部の弁護士から学ぶこと、中途加入の弁護士から紛争を中心としたプロフェッショナルとしての実務を学ぶことも非常に多いです。「全体最適の法務サービス」は予防法務や戦略的な法務についてのみだと勘違いされる場合もありますが、紛争においても「全体最適の法務サービス」はありえると思ってます。紛争業務も本来的には企業全体の利益の元に行うべきであるから、ビジネスを理解した上で提供すべきだと考えるからです。
GVAでは、一般的な法律事務所で勤務していた弁護士には「ビジネス理解力」を共有し、企業内でいた弁護士には法律事務所としての「法務サービス」を共有します。
これらが一定の時間の経過ととも融合して「全体最適の法務サービス」が生み出されます。
結論としては、GVAが輩出する弁護士像は意外とそれほど色がなく、あらゆる弁護士像を実現できるのではないかと思ってます。
苦手分野のようにサポートする部分はきっちりとサポートして、得意分野はしっかりと自主性を持っていやってもらうというようなバランスのとれた環境の整備が僕に求められた役割だと思います。
僕自身も経営者という立場だけでなく、あくまでもプロフェッショナルであることから日々「法務サービス」と「ビジネス理解力」の向上を怠らないように鍛錬を続けていきます。