「51:49の意思決定」と「組織の実行力」

今年の2月くらいにFacebookで次のようなことを呟きました。どこかでブログでまとめようと思っていたので、このタイミングでまとめていこうと思います。

 


GVAもそこそこの規模の事務所になり自分だけですべての情報を把握するとなると、かなりの時間がとられてしまうため、マネジメントライン等の組織構築やどういう人を採用すべきかという採用戦略等をしっかりと練りこまないと行き詰りますね。

実際に自分で経営をする前までは、コミュニケーション能力もあるし、組織については大丈夫と思ってましたが、友達やビジネス面での対等の場合のコミュニケーション能力と経営者とアソシエイト・従業員間のコミュニケーション能力は全く別物でした。コミュニケーションはお互いに本音をある程度言い合えるとスムーズにいきますが、なかなか経営者に本音を話すのは難しいですよね(笑)むしろ僕は経営者としてのコミュニケーション能力は圧倒的に低いことを実感しました。

最近は、意思決定と実行がどういう関係にあり、どうすれば組織として大きな成果に繋がるということも考えます。うちは比較的、議論して意思決定する組織であることから議論の中で白熱してほぼ喧嘩状態になります(笑)ここまではいくら議論してもいいと思いますし、むしろ簡単に意思決定できる場合は大抵、大事な論点や問題点を落としているので、逆に良くない結果になるようなパターンが多いです。(人の経営、自分で経営する前や最初はこのパターンが非常に多かったです。)ギチギチまで論点を詰めて51:49で意思決定する。そうすると、自分の意見が通らなかった人がかなりの割合になります。いくらいい意思決定をしても意見が通らなかった人が実行を妨害したり他人ごとになってしまったら、実行レベルが落ちるので組織の成果としてはいい結果にならないですね。むしろ意思決定の質が多少落ちても組織としての実行力があれば大きな成果になるような気がします。

いい組織とは、論点落とさずをしっかりと議論して、51:49で意思決定して、実際に実行するときは水に流して、組織一丸となって100で実行する組織なんでしょうね。だんだんと、このような組織に近づいている気がしますが、組織作りは本当に難しいですね、、、


 

■「51:49の意思決定」

重要な意思決定をする際の議論は時間が許す限り徹底的にした方がよいと思います。特に経営者はバイアスの塊の中で生きているので、忌憚のない意見をしっかりと言ってくれる人が議論の輪の中にいると経営者はバイアスの霧から解かれて正常な判断ができる可能性が高くなるんだと思います。なんらかの組織の意思決定をする際のメリット/デメリットや色んな仮説や事例、論点を洗い出すと、どっちが良いか本当にわからなくなることが多いです。議論もグルグルして、それぞれの意見ごとのチームに分かれて延々と同じ議論になり定義もブレていくことも多いような気がします。

ただ、どこかで意思決定しないといけないため、今は僕が最終的には決断するのですが、議論が割れると、どちらかの意見を採用するみたいな構図になり、贔屓だのそういう話に繋がってしまうことも昔はありました。そうすると、もう片っ方の意見の人は実行の段階で全く機能しなくなってしまいます(場合によってはあらさがしのようになってしまうこともあるでしょう)。意思決定者をバイアスの霧から解放する煮詰まった議論の後の意思決定はいつもギリギリで安易に決定されたことはあまりなかったようが気がします。あっさりと重要な決定をした場合は大抵バイアスの霧の中でしており、自分を正当化したり、自分が拾いたい情報しか拾ってなかったことがほとんどでした。(油断すると、本屋でもSNSでも自分が思っている方向性の情報ばかりが目について正当化してしまいます)なのでバイアスの霧から自分を解放するためには客観的かつマイナス面からの視点も非常に重要で、むしろありがたいと思います。そういう面では、重要な意思決定はいつも51:49まで煮詰めて決定すべきものなんだと思います。

(余談ですが天牌という麻雀漫画で出てくる「麻雀は必ず強い奴が勝つゲーム。しかし、勝負の差なんて常に51対49に過ぎないってんことを忘れるな」という言葉が好きです。麻雀思考は経営の役に立ちますw)

なお、折衷案は誰でも思いつくようなもので、鋭さに欠けるようなものが多くなるので最悪の意思決定だと個人的には思ってます。また決めないのも事業が前に進まないのでNGです。

GVAでは、海外展開についてやリーダーのあるべき姿、サービスに重視する視点、サービスプラン等は51:49の議論まで発展した例です。

 

 

■「組織の実行力」

議論を煮詰めて51:49に近付ければ、意見が採用されなかった人も増えるため、意思決定の実行という面ではマイナスに働くケースも多いです。それぞれの価値観や論理がある中で出された結論やメリット/デメリットについて、自分のものとは違う意見を実行するのは非常に頭の整理もつかず、場合によってはプライドもあるでしょう。特に弁護士は論理性で間違ったことを言うのはあまりないため、正解同士の意見のぶつかり合いになってしまうことがほとんどです。また、せっかく意見出したのに採用してくれないので、もう出さないと思う人もいるかもしれません。議論を煮詰めて51:49になれば例え採用された51だとしても論理的に欠点を探すことは可能でデメリットもいくらでも指摘できるでしょうし、そのデメリットが顕在化することは実行の過程でいくらでもあると思います。ただ、そのような意思決定についても、事務所全体が納得して49の方の意見だとしても逆に51のデメリットをよく知る存在として、意思決定の実行に全力を尽くすことのできる組織は本当に良い組織だと思います。採用されなかった49の意見の人があらさがしや失敗を待つのではなく欠点を補って成功確率を上げることが非常に重要です。その状態になれば、例え、個々の力は未熟だとしても一丸となった実行力で色んなものがカバーできると思います。

 

問題は、割れた意見の中での意思決定を一丸となって実行することのできる組織をどのように作っていくかですが、前提として個人の意見を通すことではなく「組織の目的達成」を一番に考えられるメンバーが揃っていることが重要なんだと思います。ただ、メンバーも個人的な素養もありますが組織文化の側面は非常に大きいと思います。そして、最終的には意思決定の優劣自体はわからず実行で出された結果でしか評価できないものあり、結果は「意思決定の良質さ×組織の実行力」で出されることをしっかりとメンバーが理解する必要があると思います。例えば意思決定の良質さが70か80かを競い合うよりは、組織の実行力が90から50になる方が結果に与える影響は大きくなってしまいます。またどこかのタイミングで意思決定をした後に、意思決定フェーズから実行フェーズに変わったとして頭を切り替えて結果を出すためにひたすら実行に力を集中させることが実行で成果を出すのポイントだと思います。

今でもGVAは激しい議論をしますが、実行については潔く一丸になっているケースは多いような気がします。何が原因でそうなっているかは明確ではないのですが、業務中も業務外もコミュニケーション量が増え、圧倒的にメンバー相互がそれぞれの価値観を理解していることが一つであることは間違いないでしょう。

 

経営者を取り巻くバイアスの霧を解くための忌憚のない徹底的な議論によって導かれた良質な意思決定

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意見が割れながらも実行においては従来の意見をリセットして全力で行動する組織の実行力

 

の両方を高めていくのが組織としての結果を出すためには非常に重要であり、

その前提としての理念・ビジョン・組織文化を浸透させ、メンバー間が相互に価値観を知ることが重要だと思います。

組織作りも意思決定も実行力もまだまだ未熟ですが、引き続きギリギリの意思決定と迷いのない実行を両立できるように組織作りを進めていきます!

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